エイズと風俗との関連性とは?
エイズと風俗との関連性@
風俗で働く人達は1人以上のパートナーと肉体関係を持つことが多い。このこと自体はエイズの拡大に繋がらないが、風俗関係者の間では避妊器具の利用の大切さが正しく認識されていないことが多いとされる。
2010年に国連の関連機関が行った調査によると、調査に参加した86カ国のうち、風俗に従事する人口の90%以上が避妊具を使って性行為を行ったと報告したのは全体の3分の1にすぎなかった。
また、クライアントが避妊具なしの性行為を風俗従事者に要求するという例も多々ある。
風俗の経営側がいくら避妊具の使用を呼びかけても、実際の避妊具の使用は風俗従事者とそのクライアント間の交渉次第であり、特に風俗従事者が経済的に苦しんでいる場合でクライアントが避妊具なしの性行為で支払いを割り増しすると申し出た場合は、風俗従事者はその要求を呑まざるを得ない場合が多い。
さらに、このクライアントの多くは性交を持った風俗従事者以外の一般人と性行為を持つことがあり、これによってエイズウイルスは一般人へ拡大することになる。
エイズと風俗との関連性A
風俗従事者は経済的・社会的に不利な状況に置かれている場合が多く、それゆえ不法行為に走ってしまう確率も高い。
また、風俗を取り締まる司法制度とそれを管轄する警察が配備されている場合が多いのに対して、風俗従事者を守る法律や条令、国や地方公共団体、民間の団体の活動は比較的不十分である。風俗従事者とその家族との関係が多くの場合希薄であったり、風俗従事者が安心して頼れる周囲の環境がないことも大きな要因である。
エイズと風俗との関連性B
前述のように、風俗従事者が違法行為、とりわけ違法薬物の使用に関わっているケースは多い。
この薬物の服用の際注射針を共用することで、エイズウイルスの感染が拡大する例が後を絶たない。
事実、東欧州と中央アジアの地域では、風俗従事者人口と麻薬を注射針を用いての服用するグループが重複することが多く、風俗従事者人口よりも麻薬の利用者グループの中の方でエイズウイルスへの感染が認められた人が多いとの報告があった。
このような認識は近年高まっており、風俗よりも薬物の取り締まりを強化することでエイズ問題に立ち向かおうという動きが欧州を中心に多く見られる。
エイズと風俗との関連性C
風俗と移民問題はしばしば関連問題として取り上げられる。これは、移民者で就職できず風俗以外で生計を立てる術がない者がいることがその主な理由だ。また、移民者による風俗の利用が多いのも事実である。
移民者が移入国へ入国する前にエイズウイルスに感染した場合、その母国から移入国へエイズウイルスを持ち込むことになり、水面下でエイズウイルスが国境をまたいで拡大したことになる。
風俗関係者がエイズウイルスの感染源であると考えるのは誤りである。
しかし、風俗関係者がエイズに感染するリスクが高く、また風俗関係者を守る社会的な枠組みの欠損から彼らがエイズの被害者となりやすいのは事実である。
各国でエイズへの認識と取り組みの差がある中で、風俗という営業形態の在り方を見直す必要があるのかもしれない。